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家具を作る私たちが、木と森を守るために考えていること。

今回のASHIMONOマガジンでは、家具メーカーとして避けては通れない話題を取り上げたいと思います。
家具作りは、自然破壊と表裏一体」という事実です。この数年、この問題に対して自分たちは何をするべきか、何ができるのかを考え続けてきました。長崎県産材「センダン」での家具作りに取り組みもその一環も含め、ASHIMONOの取り組みをご紹介したいと思います。

まずは、身の回りの「木」について、何が起こっているのか?のお話からはじめたいと思います。

自生する長崎のセンダンの木。

家具は使い捨ての時代がやってきた。

今の日本では、安く家具が手に入ります。
チェーンの大型店が全国にあり、北欧系の大型家具店も人気があります。

家具を低価格で購入できる環境があることで、
買い替えも気軽にできるようになりました。

そのサイクルは、5年〜10年と言われます。

そのサイクルの短さが森林資源の消費加速につながっています。

身の回りの木のほとんどが、外国生まれという現実。

日本は多くの森に覆われている国ですが、国内の木の自給率はわずか3割。
残り7割を海外からの輸入材木に頼っています。

海外からやってくる材木は、船で運ばれますがその際の輸送エネルギーは重油で、大量のCO2を排出しながら日本にやってきます。木そのものは、CO2を吸収してくれるエコな存在なのに・・・皮肉な話です。

ちなみに材木の輸送にかかる環境負荷を数値化した「ウッドマイレージ」は、
日本はアメリカの5倍、ドイツの22倍です。(参考:日本木材総合情報センター 2002年)

いかに日本が輸入材に頼っているかがわかります。

わたしたちは、まず自分たちの身の回りから、変えていくことにしました。

①県産材「センダン」を使った製品開発。

長崎県産材「センダン」を使った製品開発に取り組んでいます。
原材料の地産地消で、ウッドマイレージをおさえます。

長崎ではヒノキの代用品として愛用されてきた。
優しい赤みのある木肌が特徴。

長崎といえば海のイメージがありますが、緑も豊かな県で、森林面積は約60%あります。
しかし、輸入材木のシェアの増加や、林業従事者の高齢化、人口減少に伴い、長崎の森林は手入れが行き届かない状況です。言い換えれば、長崎の木を使う機会が増えればそこに雇用が生まれ、人が森に関わり、木を守ることができるということになります。
長崎の林業を守り、森を豊かにし、ひいては、環境を守っていきます。

②高品質な家具作りを通して、資源の無駄遣いを減らす。

ASHIMONOでは「三世代品質」を掲げ、簡単には買い替えず、ひとつの家具を、手を入れながら長く愛用するライフスタイルを提案しています。資源を使うことに変わりはありませんが、大切に長く使えるものづくりで「持続可能な家具づくり」を実践中です。

ASHIMONOの人気商品「ちゃぶ台」。世代を超えて使用できる品質とリペア体制があるからこその使い方を提案しています。「お父さんもこのちゃぶ台で宿題をしていたよ」「この写真にも写っているね」など、ものを通して親子や家族で想い出の共有ができるのも家具の魅力。


③アフターサービスの枠を超えたリペア体制
製材から一貫した製造体制を整えるASHIMONOには、リペア体制が整っています。
アフターサービスとしてのリペアに限定せず、ASHIMONO以外の製品のリペアも受け入れ、良い家具を長く使うサポートに取り組んでいます。


こうした取り組みやこだわりは、売り場に置かれた製品からはなかなか伝わらないかもしれませんが、わたしたちが家具を作り続けるためにも、未来の暮らしのためにも、誰かが、なるべく早く、はじめないといけないことだと思います。

理想とするのは「必要なものを、必要なときに、必要なだけ。」
そしてできれば、自分の身近なところにある資源を使い、環境負荷を減らす流通にも取り組みたいと考えます。

ASHIMONO製品が、人にも環境にも優しい循環の中にあり続けるよう、これからも取り組んでいきます。

長崎県産の材木「センダン」の木を使った椅子を作る様子。

「使い手目線」で考える、
高品質な家具を、長く使い続けるメリット。

ASHIMONOの思いや取り組みをたっぷり書きましたが、購入を決めるのはお客様。
そこで、使い手目線で、メリットを整理してみました。

品質の良い家具は、圧倒的に心地よい。

特にソファや椅子など「座る」というくつろぎの姿勢をとる家具は、家具の質そのものが、使い心地のよさに直結しています。質の良さがわかりやすいアイテムと言えます。座った時の安定感。落ち着く背中の角度。長く使っていても楽な座り心地。日々のQOLが抜群に上がります。
また、ソファや椅子は、人生の多くを過ごす場所にもなります。おそらく寝具の次に長いのではないでしょうか。心身のリラックスのためにも、こだわって選びたいアイテムです。

座り心地の良さは、ソファを両端で抱えただけでもわかります。 (kai sofa 2人掛け/使用生地:ME-05/木材:エボニー)
長く使うほどに、ものとしての魅力が増す。

家具には、アンティーク家具というジャンルがあります。
そのことは「木は、本来とても丈夫で手を入れれば長く使える素材」である証明です。
作られた時のストーリーや時代背景、使い手の想い出、受け継がれた理由…。

ただの家具ではなく、人と人、人と時代をつなぐものになれるのも家具の魅力です。
そういえば、時代を超えて歴代の名プレイヤーが演奏してきたピアノやヴァイオリンも木でできています。

長く使うことで、自然保護活動ができる。

良いものを長く、心地よく使うことで、自然環境を守り木の無駄遣いを防ぐことができます。
持続可能な社会に貢献できる「消費の仕方」「生き方」を実践できます。
SDGsの考え方が広まり、消費活動の価値観も急速に変わってきたように思います。「消費」や「捨てる」ということ自体にストレスを感じる人も少なくありません。何を選ぶかで、そのストレスも軽減できると考えます。




ASHIMONOのSDGsまとめ


①県産材「センダン」を使った製品開発
②高品質な家具作りを通し資源の無駄遣いを減らす
③リペア体制
以上の3つの取り組みで、持続可能な家具作りを実現します。